もくじ
理論化学の解説(分子結晶の沸点・黒鉛の電気伝導性)
この記事の読者層と記事作成の理由
化学科を卒業して予備校講師(模擬試験作成)をしていた予備校講師の休日です。化学を放置すると忘れていくので、備忘録代わりに受験生にも役立つ高校化学の情報をまとめておこうと思い、この記事を作成しました!できれば、勉強法のTwitter(こっちがメイン)もフォローしてもらえると嬉しい^^勉強関連やTOEIC関連でこうやったら勉強できるなど気づいたことをどんどんツイートしていますので!化学関連の解説記事一覧はコチラから。
分子結晶の融点・沸点は低い
Twitterの原文ママ
分子結晶の沸点は非常に低い。すぐにキレる危ないやつなんだよ😥という冗談はさておいて、単純に弱いファンデルワールス力で集まって固体になってるだけだからね。すぐにバラバラになって気体になっちまうぜ!分子結晶代表のI2は常温で昇華性あるでしょ。https://bit.ly/2J7XBm6
昇華性の話
解説コメント
結合の種類と融点や沸点って関係性はあるんですか?
あるよ!例えば、食塩ってフライパンの上で熱してもドロドロになって溶けないでしょ?でも、ドライアイスは放っておいたら常温なのに固体から気体に変わってしまうわな。
なるほど。つまり、塩化ナトリウムの結合に比べてドライアイスの結合は弱いから、常温程度であっても簡単に結合が切れるっていうわけだ!
そういうこと!最近、上田くん賢いよね!まいったね。そういうことで、ガラスとか塩化ナトリウムって何結合で形成されている固体(結晶)かな?
イオン結合!!でもって、ドライアイスは分子結晶だから…。ファンデルワールス力だね!
正解!優秀だねぇ〜^^
分子結晶の沸点が低い理由
【各結合の特徴と具体例】
- イオン結合:強固(ただし、叩くと割れる。)具体例は、塩化ナトリウム。
- ファンデルワールス力:弱い結合。具体例は、二酸化炭素。
イオン結晶(塩化ナトリウムを主成分とする食塩)などは、強固なイオン結合をしているので、フライパンで炙った程度では結合は切れない。
分子結晶(二酸化炭素の固体であるドライアイス・ヨウ素の固体・防虫剤のナフタレン)は、ファンデルワールス力という弱い結合で、ただ集まって固体になっているだけなので結合力が弱い固体だ。だから、常温で放置しているだけで簡単に結合が切れる。そして、気体になって空気中に飛んでいく。

分子結晶は昇華性をもつっていうのはこういうことなんだよ。ファンデルワールス力っていう弱い結合で固体を形成しているだけだからね。
イオン結晶と分子結晶の沸点を予測してみる
同じ第2周期のフッ化物で比較しても、LiFやBeF2みたいにイオン性の結晶の融点は800℃とか。でも、BF3、CF4、NF3、OF2みたいに分子性の結晶の融点は-150℃付近。つまり、もはや分子結晶とかっていうより、既に常温下では気体として存在しているというわけだ。
いかにファンデルワールス力が弱くて、イオン結合が強いかがわかるよね。LiとFは電気陰性度の差が大きくてイオン結合するんだろうね。一方でOF2なんかは、OとFの電気陰性度の差は小さいから分子内で極性も少なく、1分子としてふるまうんだろうね。

黒鉛が電気伝導性をもつ理由
Twitterの原文ママ
シャーペンの芯が電気を通す理由を説明できますか?入試問題で頻出ですね。黒鉛中の価電子4つのC原子は他の3つのC原子と単結合をしていますが、残りの1つは自分が保持している状態だからです。1つの電子が結合に使われていないから電気伝導性があるんじゃよ!https://bit.ly/2J7XBm6
シャーペンの芯はコンセントに刺すな。
解説コメント
先生。上田くんがシャー芯をコンセントに挿そうとしてます。
電気が流れるから、危ないよ。
本当ですね!ビリビリしてます。
昔、コンセントに針金を差し込んで感電したからヤバさがわかるよ^^懐かしいなあ。
大やけどしました。
針金をコンセントに差し込んで大やけどした話
昔、中学受験が嫌すぎて、針金のクリップを曲げてコンセントに挿して大やけどした話を思い出して書いてみました。ちなみにこれは右手にシャー芯、左手にシャー芯を持って、コンセントに突っ込んでも同様に電気が流れます。(危険ですので絶対やめてください。)

ところで、針金は金属なので電気が流れるのは何となく想像はつくんですが、どうしてシャーペンの芯でも電気は流れるのでしょうか?さてさて、シャーペンの芯の構造について深く考察していきましょう。
シャーペンの芯も自由電子を持っている
そもそも電気が流れるっていうのはどういうことなのでしょうか?
電気が流れるというのは、つまり、『自由電子がある』ということを指します。自由電子というのは単結合などに使われていない電子ということ。金属には自由電子が存在します。分からなかったら自由電子の説明へジャンプ。
この自由電子が移動するというのが、電気(電流)が流れるということになるわけです。

ということは、黒鉛にも自由電子っていうのが存在するとでも言うわけ!!!?
そういうことだな。炭素の価標(つまり結合の手の数、もしくは価電子)は4つだろ?ダイヤモンドはこの4本の結合の手を全て単結合に使っている。一方で、黒鉛は4本の結合の手のうち、3本だけ単結合に使い、残りの1本(つまり、1つの電子)は結合に使わずに自身が持ったままでいるわけ。
そういうことだね!
なんで上田が先生の立場で喋るわけ!?なめんなよ。
うえぴょん。
黒鉛が電気伝導性を示す理由はC原子の価電子は4つあるにも関わらず、3つしか他のC原子との結合に使わず、残りの1つの価電子は自分(炭素原子自身)で持っておくからです。
ダイヤモンド結晶の場合はきちんと4つの電子全てを他のC原子との結合に用いるから、ダイヤモンドに銅線くっつけて電気流そうとしても無理ですよね。でも、シャーペンの芯を2本持ってコンセントの両穴に刺したらビリビリしますね。(危ないので、やめておきましょう。)

シャー芯がポキっと簡単に折れる理由
ちなみにシャーペンの芯って黒鉛でできてますよね。黒鉛って強固な共有結合でくっついてるのにどうしてポキっと折れるのでしょうか。これは、黒鉛の1層1層自体は炭素原子が互いに共有結合をして構成された六角形の面を作るわけなんですが、その面同士がファンデルワールス力によってくっついて塊になってるだけだからです。弱いファンデルワールス力でたくさんの層になった黒鉛(グラフェン)は力をかけるとポキっと折れちゃう弱い奴です。折れるな受験生。負けるな高校生。
コメントを残す