もくじ
理論化学の解説(ルシャトリエの原理・共通イオン効果・反応速度と化学平衡とは)

この記事の読者層と記事作成の理由
化学科を卒業して予備校講師(模擬試験作成)をしていた予備校講師の休日です。化学を放置すると忘れていくので、備忘録代わりに受験生にも役立つ高校化学の情報をまとめておこうと思い、この記事を作成しました!できれば、勉強法のTwitter(こっちがメイン)もフォローしてもらえると嬉しい^^勉強関連やTOEIC関連でこうやったら勉強できるなど気づいたことをどんどんツイートしていますので!化学関連の解説記事一覧・目次はコチラから。
高校化学を選択している受験生や中間・期末で内容理解したい高校生を、また化学科の大学1年生を読者層だと考えて、Twitterで普段つぶやいている内容をより細かくこの記事で解説しております。受験生用にシス単の語源や覚えやすい連想できる話を記事にしましたのでこちらもどうぞ。シス単や英検2級やセンター試験に出てくる英単語の語源や関連する内容を見るだけで覚えられるようにまとめた単語力アップ保存版!【高校生・受験生必見!】
ルシャトリエの原理とは?
Twitterの原文ママ
ルシャトリエの原理:条件変化を起こすと、その変化を緩和する方に平衡が移動する原理。例えば正反応が吸熱反応だとして、加熱すると、正反応が進み、新平衡v1’=v2’が成立だよ!みたいな。
解説コメント
この世界は、そもそも論の話でちょっとスピリチュアルっぽいけど『変化』ってものを嫌うのね。できるだけ同じ状態でいたい。
あながちこういう感覚は間違いじゃなくて、何か変化が起きると、その変化を緩和しようという働きが起こるのね。(条件変化を起こすと、その条件変化を打ち消すように平衡が移動する原理。)
例えば、
A+B⇄C+D+Q kJという発熱反応の式があったとして、これが今現状、平衡状態だとする。
そこで、条件変化を起こす。例えば、系の温度を下げてみる。
すると、「系の温度が下がる」という条件変化を緩和しようとして、発熱反応が進行するようになる。つまり、正反応が進行するようになるんだな。そして、v1=v2という平衡状態をとっていたのが、新たにv1’=v2’という平衡状態をとるようになる。これがルシャトリエの原理。
具体的に式①を用いてルシャトリエの原理をマスターしよう。容器内にN2O4とNO2が存在し、平衡状態である。
N2O4⇄2NO2−57 kJ ……①
⑴「N2O4を加える」という条件変化を起こしたらどうなるだろうか?N2O4を減らそうという方向に平衡が移動する。つまり、平衡は右に移動する。
⑵「圧力をかける」という条件変化を起こしたらどうなるだろうか?N2O4なら1粒の粒子だが、NO2だと2粒分になる。圧力をかけたのだから、圧力を減らす方向に平衡は移動する。したがって、左に平衡が移動する。という感じ。
⑶「温度上昇させる」という条件変化を起こしたらどうなるだろうか?系の温度を上昇させたら、できるだけ緩和しようと、温度を下げる方向に平衡が移動する。したがって、右に平衡が移動する。というわけだ。(吸熱反応より)
⑷「触媒を追加する」という条件変化を起こしたらどうなるだろうか?これは、答えは平衡の移動は起こらない。なぜなら、触媒とは単に活性化エネルギーを下げる役割があるだけで化学平衡には関与しないからだ。
共通イオン効果とは?
Twitterの原文ママ
共通イオン効果はルシャトリエの原理で説明できるね。Ag+とCl-が飽和している状況下で、Ag++Cl-⇄AgClの平衡が成り立つ時、NaClを加えると、Cl-が減る方向に(つまりAgCl析出)平衡が移動するわけだ。
解説コメント
Ag+とCl-が完全に飽和した状態でギリギリまだAgClの沈殿が起きていない状況をイメージしてほしい。まだ、溶液には何も沈殿していない。だが、Ag+ +Cl-⇄AgClの平衡が成り立っている状況だ。
こういう状況で、NaClみたいに電離してCl-を放出する塩を投入するとどうなるだろうか。
答えは、AgClが析出してくる。すごくない?どうして?って感じだよね。
でも、ルシャトリエの原理で説明はつく。(溶解度積を越えたらそりゃあ析出するわけなんだけどさ。)
Ag+ +Cl-⇄AgCl
の平衡が成立している時に追加でCl-が投入されるという条件変化が起きたら、Cl-を減らす方向に平衡が移動する。だから、AgCl析出の方向に平衡が移動するよって話。
反応速度と化学平衡を問題で考える
Twitterの原文ママ
気体の平衡移動について考えるとき、「圧力を高くする」という条件変化は「濃度を濃くする」と読み変えられる。つまり、粒子の衝突回数が増えるのだから反応速度は上がるわな。平衡がどういう風に移動するかは反応式の係数の和で考えて。
解説コメント
さてと。問題を使って考えていこう。今回は、2002の東海大より引用(文章は少し改)。丁寧に解説していきます。
2CO + O2 = 2CO2 + 566 kJ
この反応が可逆反応であるとする。次のように条件変化させたとき、⑴反応速度はどうなるか?⑵平衡はどのように移動するか?
- 圧力一定に保ち、温度を下げる
- 温度一定に保ち、圧力を高くする
- 温度・体積を一定に保ち、希ガスを加える
- 全圧一定に保ち、希ガスを加える
⑴反応速度を支配する因子はなんだったっけ?
- 衝突回数(つまり、濃度)
- 粒子の持つエネルギー(つまり、温度)
- 活性化エネルギーの値(触媒の有無)
となる。反応物質の濃度を上げれば、粒子同士の衝突回数は増えるので、反応速度は上昇。粒子の持つエネルギーは温度上昇させれば粒子の持つエネルギーも上がるため反応速度が上がる。活性化エネルギーを下げても反応速度は速くなる。
では、問題を解いていく。
条件1:「圧力一定で温度下げる」だと、粒子のもつエネルギーが下がるので反応しづらくなる。したがって、反応速度は落ちる。(小さくなる)
条件2:圧力を高くする=濃度を濃くする=衝突回数増加→反応速度は大きくなる
条件3:「希ガスを加える」=活性化エネルギー落ちる→反応速度は大きくなる
条件4:「温度・全圧一定で希ガスを加える」というのはどういうことだろうか?全圧を一定にして、希ガスを加えると、反応物質の濃度つまり、COやO2やCO2の濃度は落ちる=衝突回数は減る→反応速度は小さくなる
⑵平衡はどうなるか?
平衡の方がまだ簡単かな?ルシャトリエの原理ね。
条件1:温度を下げるとそれを緩和する方向にだから、平衡は右に移動する。
条件2:圧力を高くすると、反応式の係数の和が左辺は3で、右辺は2なので、圧力低下の方向へ→右に移動
条件3:希ガスを加えるとどうなるか?反応物質COやO2やCO2の濃度(分圧)は変わらんね。体積一定なんやから。だから、希ガスを加えても、平行移動はなし。
条件4:全圧一定に保って希ガスを加えるということは、体積増やさなあかんわな。じゃないと全圧一定にならんからな。ということは反応物質の濃度(分圧)はどうなるかっちゅう話。薄なるわな。→濃度(分圧)あげようとするわな。→答え平衡は左に移動する。となるわけだ。
コメントを残す