もくじ
電子親和力とは電子1個受け取った時の「ホッとした気持ち」
電子親和力とは?

電子親和力とは何か…?言葉の通りなんだけど,要するに『その原子がどれくらい電子が好きか』を表す指標だと言えるんだよ。
ごちゃごちゃにならないように他の2つも別の記事でちゃんと解説しているから読んで比較しておいてね!
・イオン化エネルギーとは?
・電気陰性度とは?
今日は,電子親和力。
まずは,定義から押さえていこう。
電子親和力とは,
『原子が電子e⁻を1つ受け取った時に放出エネルギー』
のこと。
今回はフッ素原子Fを用いて解説してみる。
F原子くんと電子の出会い劇場
F原子くんが道端を歩いている。
F原子「あぁ…マジで電子欲しい。あと1個電子もらったら,希ガスのNeと同じ電子配置で安定なのになぁ…どっかに電子e⁻落ちてねぇかな?」
F原子「おぉぉ!!!自販機の下に電子e⁻落ちてるやん!!!もらおっと!」
F原子くんは,電子e⁻を手に入れて,フッ素イオンF⁻になる。
フッ素イオンF⁻「おぉぉ…電子e⁻を手に入れて,超満足…ホッとしたぜ…。」
このホッとした時に放出するエネルギーが電子親和力です。
F原子→フッ素イオンの式を電子配置の図で説明(挿入)
なるほど!つまり,電子親和力っていうのは,
F+e⁻→F⁻
という反応において放出するエネルギーのことね。
F+e⁻=F⁻+Q1〔kJ〕
Q1〔kJ〕が電子親和力ね。
そういうこと!エネルギー図は下図の通りだよ!
エネルギー図挿入
電子親和力の値の意味
- 電子親和力の値が大きい=その原子は電子が欲しい!と思っている
- 電子親和力の値が小さい=その原子は電子が欲しい!とあまり思っていない
ということになる。例えば,希ガスは既に安定な電子配置を取っているので,e⁻が欲しい!という感情は非常に薄い(というか無い。)
したがって,希ガスの電子親和力の値はほぼ0kJとなる。
電子親和力はどうしてハロゲンが最大なのか
理由その1 希ガスの電子配置を取れるようになるから

これは結構単純な話で,第17属元素のハロゲン(F,Cl,Br,I)は,あと1個電子e⁻を受け取ると,希ガス(Ne,Ar,Kr,Xe)の電子配置を取ることができる。
希ガスは非常に安定な電子配置を取るので,めっちゃ安定な元素。
この安定な希ガスと同じ電子配置を取れるようになれる
=ハロゲンはめちゃくちゃ電子e⁻が欲しい。
=ハロゲンの電子親和力は大きい
となる。
なるほどね。ハロゲンは電子を1個もらうと,希ガスと同じ電子配置を取るイオンになれるから,電子1個受け取る時にめちゃくちゃ『安定化』するのね。
そうだよーーー!だから,電子1個受け取ると安定化できるハロゲンは電子親和力が大きい。
理由その2 陽子の数が多いから

この理由は『同一周期』での考え方になる。例えば,第2周期に着目すると,電子親和力は以下の通り。
- B 26.9 〔kJ/mol〕
- C 121.78〔kJ/mol〕
- O 141〔kJ/mol〕
- F 328〔kJ/mol〕
諸所の理由で電気陰性度などに比べると,綺麗な相関性はないが,周期表の右にいくほど電子親和力は大きくなっている。(電子親和力:B<C<O<F)
どうしてなんだい?ニシジマくん〜!確かに,電子親和力の値は,B<C<O<Fだね。
解説していくことにするよ!
同一周期の場合,新たに入ってくる電子(受け取ろうとする電子)e⁻は同じ電子殻に入る。
例えば,第2周期の場合,BもCもOもFも新たに入ってくる電子(受け取ろうとする電子)e⁻はL殻に入ることになる。
したがって,原子核〜最外殻電子までの距離は,BもCもOもFも大体等しくなる。
BCOFの電子配置とe⁻を取り込もうとする図を挿入
なるほど。確かに,同一周期の場合は原子核〜最外殻電子までの距離は等しいね。
厳密には少し異なるけど,ほとんど同じはず。そして,最初に説明した通り,電子親和力とは電子欲しい度だったわけ。どうやって,外部の電子(新たに入ってくる電子)は原子に引き付けられると思う?
そりゃあ…原子がもつ原子核中の陽子が外部の電子を引っ張って取り込もうとするんじゃないかな?
その通り!陽子が電子を引っ張るんだよね。だから,外部の電子を引っ張る陽子の数が多ければ多いほど,原子の中に電子を取り込む力(≒電子親和力)は大きくなるんじゃないかな?
なるほどなるほど!つまり,
陽子の数はB<C<O<F
だから,
電子親和力はB<C<O<F
になるってことね!
電気的中性の原子が電子と引かれ合うのか
ここまでの理解で十分。あとは,ニシジマが書きたいから書いてるだけの自己満足の内容なので読み飛ばしてくれてOKですよ!電子親和力の勉強お疲れ様でした!
電子親和力とは,原子が電子を1個受け取った時に放出するエネルギーと解説しました。これ自体はその通りです。では,どうして,『電気的に中性』の原子は,電子を引っ張ろうとする力があるのでしょうか。
これはかなり発展的な内容です。
無限遠に存在する電子e⁻の視点から考えると,
無限遠に存在する電子がある原子に近づいてくる時,電子にとって原子は,電気的中性の球体の原子です。
しかし,かなり接近すると,状況が変わり,電子e⁻は,
- 原子核中に存在する陽子によって引き付けられる力(安定化を及ぼす力)
- 電子殻中に存在する電子との反発する斥力(不安定化を及ぼす力)
の両方が拮抗し合います。一般に,
原子核中に存在する陽子によって引き付けられる力(安定化を及ぼす力)>電子殻中に存在する電子との反発する斥力(不安定化を及ぼす力)
であることから,電子親和力の値は正の値を取ります。
これは第二電子親和力(1価の陰イオンが電子e⁻を1個受け取った時に放出するエネルギー)の値からもわかることで,実は,第二電子親和力の値はどの元素も『負』の値を取っています。
これは,−1の電荷を持ったX⁻に−1の電子が近づけられるか?ということです。
無論,自発的に電子が近づくわけがないので,第二電子親和力の値は『負』の値になります。これは不安定化を表します。
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