電子親和力がフッ素より塩素が大きい理由を簡単に解説する

電子親和力はどうしてCl>Fなのか

電子殻の混み具合に着目せよ

電子親和力とは何かについては,別の記事で書いているので,ざっくりと電子親和力について解説していきます。
少しだけハイレベルですので,高校化学初学者には少し難しい内容になっているかもしれません。

いきなり結論を述べる

先に電子親和力がどうしてCl>Fなのかの結論だけ述べると,

  • F原子の最外殻は電子で混み合っており,無限遠の電子が入ってこようとすると斥力が働き,反発するから。

では詳しく解説していきます。

電子親和力の定義

原子が(無限遠の)電子eを1つ取り入れた時に放出するエネルギー

である。

さて,無限遠の電子を引っ張るのは陽子。

陽子が多い方が無限遠の電子を引っ張る力が強くなるので,同一周期であれば17族元素のハロゲンが最大となる。

そして,一般論として,同一族の元素であれば,原子番号が小さい原子の方が電子親和力は大きくなる

例えば,1族元素のアルカリ金属の場合,

電子親和力は,Li>Na>K>Rbとなる。

これは単純に,

Li,Na,K,Rbの電子殻の最外殻は,L殻,M殻,N殻,O殻

つまり,

陽子が存在する原子核〜最外殻までの距離が,Li<Na<K<Rb

したがって,

Liであればクーロン力を十分に働かせることができるため,無限遠の電子を引っ張ってきやすくなる,また,電子を保持する力が強くなる。

そのため電子親和力はLiが最も大きくなるという理屈である。

FとClを比較した場合,

Fの最外殻電子はL殻,Clの最外殻電子はM殻であることから,

電子親和力は,F>Clとなりそうである。

電子親和力がF<Clである理由

Fの最外殻電子は非常に混み合っているため

これが一番よく語られる理由ですが,電子配置を考えると,Fの最外殻はL殻,Clの最外殻はM殻です。電子殻に収容された電子の『混み具合』はどうなっているでしょうか?

フッ素原子Fの場合,

最外殻L殻に収容されている電子の数は7個

塩素原子Clの場合,

最外殻M殻に収容されている電子の数は7個

したがって,どちらも同じ7個の電子が最外殻に収容されています。

L殻はM殻に比べて非常に小さい電子殻であることを踏まえると,フッ素原子Fの最外殻L殻は非常に『電子同士が混み合っている』状況であることがわかります。

ここに無限遠から引き寄せられた電子e⁻が近づいてくるとどうなるでしょうか?

元々収容されていた電子による斥力が大きくてなかなか電子e⁻が入りにくくなっているわけです(=電子親和力が小さい)。

一方,塩素原子の場合は,最外殻電子はM殻に収容されていることから,比較的ゆったりと電子同士で混み合うことなく収容されているわけです。

つまり,それほど収容されていた電子による斥力を受けることなく,すんなりと電子e⁻が入れるわけです(=電子親和力が大きい)。

混み合う様子の図を挿入

一般的には同族元素では原子番号が小さい方が電子親和力は大きい

上記のF<Clの例はあくまで例外であり,一般論としては,同族元素では原子番号が小さい方が電子親和力は大きくなります。

有効核電荷は意外と変わらない

同一族元素で比較してみる。

例えばLiとNaとKで比較すると,

形式的な陽子の正電荷は,Liが3,Naが11,Kが19である。

しかしながら,最外殻電子は内殻電子(最外殻電子より内側の殻に収容されている電子)によって『遮蔽』されているため,

有効核電荷は,Liが1.28,Naが2.57,Kが3.49となっている。

実は,内殻電子の遮蔽効果によって,陽子の『無限遠の電子を引きつける効果』はかなり薄れており,LiもNaもKも有効核電荷は見た目の陽子数ほどの差はないことがわかる。

ということは,同一族における電子親和力の大小はあくまで,原子核〜最外殻までの距離の大小に起因すると言って良いだろう。

上記より,同一族における電子親和力は,原子番号の小さい原子が大きいというのが一般的な考え方になる。

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ABOUTこの記事をかいた人

ニシジマ

ゆとり世代ど真ん中に爆誕。円周率は3だと信じて疑わない。大学卒業後,予備校で勤務しており,化学を担当。主な業務は,模擬試験作成と入試解説の執筆。大学時代の専攻は物理化学であるが,難解すぎて意味があまりわからない。