レバノンの爆発のしくみを予備校の化学科が解説!花火の火薬とガソリンの違いとは?

レバノンで起きた大爆発の原因物質は何?

不安定な化合物,硝酸アンモニウム

レバノンの首都ベイルートで起きた大爆発。ニュースで見てガチでびっくりしました。(ゴーンの出番かも?)

被害は,100人以上の死亡,5000人の負傷者,住宅に関しては30万戸が吹き飛んだそうです。

どうも,予備校化学科のニシジマです。化学ブログをやっております。よかったら是非他の記事も見てくださいね!
今回は,レバノンで起きた大爆発の原因物質である硝酸アンモニウム,それから,火薬とただの可燃物の違いについて簡単に解説していきます。

ニシジマはブログの不労所得を目指しているわ!どうやらもう働きたくないみたいよ!

硝酸アンモニウムとは?

硝酸アンモニウムとは,化学式NH₄NO₃で示される化合物で,ほんの少し不安定な化合物です。肥料に多く含まれる物質ですね。

爆薬にも使われ,木片と混ぜることで硝安爆薬(しょうあんばくやく)が完成します。昔はよく炭鉱開発などで使われていた爆薬ですが,現在はあまり使われていないそうですね。

硝酸アンモニウム(硝安)に熱を加えると次の反応を起こします。

NH₄NO₃ → 2N₂↑+4H₂O+O₂↑

上記の反応により,酸素O₂が生成するため,周りの物質を酸化させたり,燃焼させたりすることができます

また,一見爆発力と関係のなさそうな窒素N₂ですが,気体である窒素が生成するため,密閉空間で,圧力上昇が起きます(=爆発の原因)。

しかも,不安定な化合物NH₄NO₃から,安定な単体,化合物であるN₂,H₂O,O₂が生成するため,エネルギーの差分が熱として外部空間に放出されます。

ちなみに,映画でよく,爆薬による爆発を物陰に隠れてしのぐシーンがありますが,あれは不可能です。衝撃は緩和されることなく,骨折と内臓破裂などを起こし,死にます。

今日の記事なんかめちゃくちゃ物々しいね…。家帰って花火しよっと。

花火に使われる黒色火薬の主成分である酸化剤,硝酸カリウムKNO₃も加熱すると(火をつけると),酸素O₂が発生するよ!なので,火薬の一種である花火は実は『自己完結型』の燃焼で,外部の空気中の酸素に頼ることなく燃えることができる。水中に燃えてる花火を挿しても,消えることなく燃え続けるよ!(※火薬部分が水に接触することのないようにテープを貼る必要がある。)

まじんこ?

まじんこ。

火薬は外部の酸素を使うことなく燃焼できるので,ロケットの推進のための燃料や,密閉空間での燃焼に最適です。

ところで,爆薬とは何なのでしょうか?

爆薬も火薬も基本的には同じものです。平たく言うと,火薬の威力が物凄いものを爆薬と言います。

火薬(爆薬)と,メタンガスCH₄やプロパンガスC₃H₈やガソリンC₈H₁₈みたいな可燃物と何が違うわけ?

自己完結型の燃焼を起こすのが,火薬。
外部の酸素を利用して燃焼するのが,可燃物だね。

火薬と可燃物の違い

火薬とは,

熱や圧力を加えると,急速に反応が開始する。火薬自身が分解などを起こすことで多量の熱やガスを放出する。この熱やガスが密閉空間の爆発に繋がる。

火薬が自燃性を持つ理由は複数ある。次の章で解説するよ。

可燃物とは,

外部の酸素を使ってゆっくり燃える物質。ガソリンだけで燃えることはできないし,プロパンガスだけで燃えることはできない。

火薬の種類

大きく分けて火薬は2種類に分類できる。

  1. 自分自身の分解によって熱やガスが生成する火薬
  2. 自分自身で酸素を供給する火薬

火薬自身の分解によって熱やガスが生成する火薬

このタイプの火薬は,元々不安定な化合物であり,自分自身(火薬)に少し熱を加えると,分解反応が開始し,安定な物質が生成する。

不安定→安定

の分解反応をすることで,大量の熱やガスを放出する。窒素原子Nが多く含まれる化合物がこのタイプの火薬。

化合物の成分に”O”が含まれ,反応が開始すると,酸素O₂が発生し,それを使ってまた,自分自身を燃焼させる火薬

このタイプはニトロセルロースやニトログリセリン,その他TNTなどがこのタイプの火薬に挙げられる。

グリセリンC₃H₅N₃O₉ → 3 CO₂+5/2 H₂O+3/2 N₂+1/2 O₂

自らの熱分解により発生した酸素O₂は自分自身,周囲の物質などを燃焼させたり,酸化させたりするために使われます。

酸化剤+燃料で構成される火薬

このタイプで一番身近な火薬が黒色火薬(硝酸カリウムKNO₃と木片や金属片などの混合物)です。いわゆる花火。手持ち花火にも打ち上げ花火にも黒色火薬は使われております。

酸化剤である硝酸カリウムに熱を加えると,次の反応を起こします。

KNO₃ → KNO₂+O₂↑

酸素が発生して,燃料(木片や金属片)を燃やします。木片Cや金属片Alが燃えることで,大量の熱が発生。テルミット反応に似てますね。

ここでのAl片はあくまで,燃料であって,花火の色を出す効果剤ではないです。
黒色火薬(花火)の組成は,
① 酸化剤 KNO₃
② 硫黄 S
③ 木片 C
ですね。現在は,硝酸カリウムKNO₃は肥料から取れますが,
昔は,糞尿に草を燃やしたあとの灰を混ぜて放置した液体から析出される結晶(KNO₃)を集めていたそうです。

なんでも知ってるのね。まっどうでもいいけど,ここでもう一度宣伝よ!0からの高校化学では,『高校化学を0から学ぼう』をコンセプトに毎日最近ニシジマが頑張って記事を更新しているわ!
どうやら,ニシジマはお金に困窮してるみたいよ!貧乏人を助けるつもりで0からの高校化学を見てあげてね!

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ABOUTこの記事をかいた人

ニシジマ

ゆとり世代ど真ん中に爆誕。円周率は3だと信じて疑わない。大学卒業後,予備校で勤務しており,化学を担当。主な業務は,模擬試験作成と入試解説の執筆。大学時代の専攻は物理化学であるが,難解すぎて意味があまりわからない。