希ガス原子の原子半径はなぜ大きい?【ファンデルワールス半径と共有結合半径】

原子の大きさとは何を表すのか

原子の大きさとは

いきなりですが,

原子の大きさは測ることはできません。

にも関わらず,教科書や専門書には,『原子半径の一覧』なるものが掲載されています。

そもそも,原子というのは,原子核と電子の集合のこと。

電子の存在する場所は確率でしか語れないわけなので,原子の大きさを正確に測定することは不可能なわけです。

じゃあ,どうして原子半径が教科書や専門書に載ってるわけ?あれは適当に書いてるの?

うん,適当だよ!…って言うと思った?あれは,言わば平均値のことだよ。じゃあ,原子半径とは何のことを表すのか見ていこう!

ボケも秀逸ね。

ちなみになんだけど,日本人の髪の断面の直径が0.08 mmで,原子1粒の大きさが,およそ0.1 nmだから,髪の断面を100万分の1くらいに分割すると,1原子の大きさになるよ。

原子半径とは何の値を示すのか

直接,原子半径を測れないとなると,分子を測定して原子半径を予測するしか方法はありません。

例えば,塩素原子Clの原子半径を予測したい場合,

塩素分子Cl₂の結合間距離の半分の大きさが塩素原子Clの原子半径であると定義しています。これを『共有結合半径』といいます。

原子半径とは,共有結合半径以外にも,ファンデルワールス半径,イオン結合半径,金属結合半径などがあります。

つまり,定義が色々とあるので,同じ塩素原子Clであっても,共有結合半径とファンデルワールス半径の値は異なるわけです。

共有結合半径

ある原子Aが同じ原子Aと結合し,A₂という分子を形成した時,A原子同士の中心間距離を2で割った値が,共有結合半径です。

共有結合半径における注意点

共有結合半径を決める要因としては,

  • 原子自身の大きさ
  • 結合の強さ

が大きく起因するので,共有結合半径で考えたC原子の原子半径は,C−Cで考えた場合と,C=Cで考えた場合と,C≡Cで考えた場合で異なります。

各結合間距離は,

  • C−C 1.54 Å
  • C=C 1.33 Å
  • C≡C 1.20 Å

となるので,各共有結合半径(=Cの原子半径)は,

  • C−Cで計算した場合,0.77 Å
  • C=Cで計算した場合,0.66 Å
  • C≡Cで計算した場合,0.60 Å

となり,それぞれ異なる値が算出されます。共有結合半径の場合,単結合で計算して原子半径を求めるのが一般的です。

ファンデルワールス半径

ファンデルワールス力で互いの分子が結合し合うわけではないが,ギリギリまで接近した時の各原子の中心間距離を表す。

図より,共有結合半径≠ファンデルワールス半径であることは明らかである。

共有結合半径とファンデルワールス半径の図を挿入

希ガス原子の原子半径が大きいとされる理由

一般に,同一周期では,周期表を右にいくほど原子半径は大きくなる

これは,同一周期では,最外殻は同じ殻であるので(例えば,LiもFも最外殻はL殻),原子半径を決定する要因は陽子数であるという話である。

詳しくは別記事で記述することにする。

それでは,どうして一番右の希ガスの原子半径は大きいとされるのだろうか。

参考:各原子のファンデルワールス半径(単位はÅ)

  • C 1.70
  • N 1.55
  • O 1.52
  • F 1.47
  • Ne 1.54

理由その1 比べている原子半径の定義が異なる

ハロゲンやその他の非金属原子は分子を形成するが,希ガスは単原子分子である。

困ったことに,希ガスは分子を形成しないのだ!!!!

急に荒ぶるね!ニシジマ!よっ益荒男!!!

お酒飲みながら書いててそろそろ眠くなってきちゃった…「眠くなってきちゃった〜。」っていうザコシショウのネタ好き。

ということで,希ガスは分子を形成しないので,共有結合半径は求められない。そこで,代替的にファンデルワールス半径を使用する。

結果,金属原子は,金属結合半径の値,非金属原子は,共有結合半径の値,希ガスはファンデルワールス半径の値を用いるため,そもそも定義が異なるのである。

したがって,互いの値を比べること自体がナンセンスなのであるなり。

理由その2 電子同士の反発による原子半径の拡大

完全に充填されて,それ以上電子が入らない閉殻構造を取る希ガス。

希ガスの最外殻は電子で埋め尽くされていると言って良い。

したがって,希ガスの最外殻電子では,電子が混み合っている状態から収容されている電子が互いに反発するのである!!!

なっ…なるほど!!!希ガスの最外殻電子同士が反発するのね!!!電子同士の斥力が原子半径を大きくしているのだわ!!いや〜〜〜ん。

ハイボールちびちび。当ブログでは,0から化学を学んでいこうをコンセプトに化学に関する記事を更新しています。twitterもやっていますので是非!

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ABOUTこの記事をかいた人

ニシジマ

ゆとり世代ど真ん中に爆誕。円周率は3だと信じて疑わない。大学卒業後,予備校で勤務しており,化学を担当。主な業務は,模擬試験作成と入試解説の執筆。大学時代の専攻は物理化学であるが,難解すぎて意味があまりわからない。